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アイ・ペットクリニックの西井先生が作る物語から愛犬・愛猫の病気のサインをレクチャーする企画です。

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04 賢不全

Vol.04

sick signatures

4、【ネコと賢不全

 

うちには14歳になるラグドールのルーちゃんがいる。ご飯はいつも自分が好きな時に食べ、お皿が空になったら「にゃーーーん(ごはーーん)」と呼ぶのが常だ。いつもマイペースなルーちゃん。甘えてくることは時々しかなく、撫でようとすると逃げていく。そんなルーちゃんが突然、撫でさせてくれるようになった。ついに甘えてくれるようになったのか!!と、嬉しく思っていたのだが、家族からの一言で「普通じゃない」ということがわかった。

 

□母「最近、ルーちゃんにご飯入れてあげてる?私が見るときいつもお皿にご飯あるからだれか入れてくれてるのかな?」

 

家族みんなに聞いてみると誰一人、ご飯を追加していない。そう、お皿のご飯がまったく減っていないのだ。いつからだろうか?何か原因があるのだろうか?そう思い、動物病院に連れて行った。

診察室に呼ばれ、先生がルーちゃんを診て。

 

■先生「かなり脱水が進んでるんですが、いつからご飯やお水を摂取していないですか?」

□私「先生、わからないんです。ご飯は食べたら追加していたのですが、いつもご飯が入っていたので家族が与えてくれているものだと思っていて・・・」

■先生「そうですか・・・高齢のネコちゃんなので腎臓の機能が落ちてきているかもしれません。血液検査をしてもいいですか?」

□私「お願いします!!」

 

しばらくして血液検査の結果が出て先生に呼ばれた。

 

■先生「血液検査の結果、ルーちゃんは腎不全の可能性が高いです。しかも、状態はかなり悪いです。」

□私「先生、腎不全ってことは、治らないんですか?どれくらい前からなっていたんでしょうか?」

■先生「残念ながら、腎不全は年齢とともに腎臓の機能が低下してくる進行性の変化のため、治りません。年齢的に最近というより少し前からだんだんと腎機能が落ちてきて限界をむかえたからルーちゃんに症状として現れたのだと考えられます。」

□私「先生、何かしてあげれることはないですか?」

■先生「腎不全自体を治してあげることはできませんが、点滴により腎不全による弊害を緩和してあげることはできます。ただし、これも一時的ですし、見た目にはっきりと効果がでるとは限りません。」

□私「そうなんですね・・・先生、ルーちゃんが少しでも楽になってくれるなら点滴をお願いします。」

 

こうして、ルーちゃんの点滴生活がはじまった。もっと早くにご飯を食べていないことに気づけていれば・・・もっと定期的に健康診断をしていれば、もっと早くに腎不全を見つけてあげられたかもしれない。そんな後悔に押しつぶされそうになったけど、先生は腎不全はルーちゃんがここまで頑張って生きてきたからこそ生じた腎臓の限界なのだと教えてくれた。

うちにはまだネコ2匹がいる。この子たちには定期的に血液検査を受けさせよう。きっとそれをルーちゃんが教えてくれたのだから。

 

賢不全のサイン

・食欲がなくなり、吐くことが多くなった
・尿がうすい(透明)状態がつづく(濃縮されない)
・皮膚の張りがなくなる(脱水)
・口臭がきつくなる

 

 

※ネコの腎不全は、腎機能が25%以下にならないと血液検査で異常がでてきません。定期的な血液検査で、そのサインを見つけてあげる必要があります。 

ペットケアセンター アイ・ペットクリニック
< 眼科・腫瘍科・皮膚科・循環器科・CT>
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